
AIとの対話から始まった、私の学び直し体験
AIがこれだけ注目される時代、私も何か学んでおかなければと思い立ちました。「リカレント教育 AI」で検索してみると、出てくるのは「スキルアップ」「転職対策」「DX人材育成」といった言葉ばかり。
正直、迷いました。プログラミングを覚えるべき?データサイエンスの講座を受講?それとも資格取得?
でも、ふと思ったんです。「AIに教えてもらえば一石二鳥かな」と。習うより慣れよの精神で、とりあえずAIとの対話を始めてみました。
すると、意外な発見が待っていたのです。
AIでの学びは、従来の教育とは全く違っていました。決められたカリキュラムがないため、経済学から哲学、心理学まで自由に横断できる。一つの問いから別の分野へと自然に話題が広がり、新たな視点での理解が生まれる。
そして何より驚いたのは、知識を得ようとしているのに、いつの間にか「自分がどう考えるか」「何を大切にしているか」といった思考法や価値観まで明確になっていることでした。
この学びは現在も進行中です。興味深いのは、AIのハルシネーション(幻覚)や解釈の違いに遭遇することで、逆に「これって本当だろうか?」「自分はどう思うだろうか?」と常に問い直す習慣がついたこと。完璧でないからこそ、メタ認知能力が自然と鍛えられているのです。
これが、私の考える新しいリカレント教育のかたちです。
なぜ従来の学び直しでは満足できないのか
特に中小企業経営者が感じる違和感
「DXを進めなければ」「最新技術を学ばなければ」…そんな焦りを感じている中小企業の経営者の方は多いのではないでしょうか。
しかし、高額なセミナーに参加したり、大企業向けの事例を学んだりしても、なかなか自社の現実に落とし込めない。限られた人材と予算の中で、一体何から手をつければよいのか悩んでしまう。
スキル習得の限界と経営者の本質的な役割
技術的なスキルは従業員や外部パートナーに任せることができます。しかし、「この会社の方向性を決める判断軸」「従業員が信頼して付いてくる理由」「顧客が選び続ける価値」は、経営者自身の内面から生まれるものです。
AIの台頭により「人間でなければできないこと」の定義が変わる中で、経営者に求められるのは特定のスキルではなく、「経営者としての自分の価値を明確にし、それを組織全体に浸透させる力」なのかもしれません。
「自己価値向上」という新しいアプローチ
経営者にとっての自己価値とは
私が提案したいのは、リカレント教育を「自分という唯一無二の存在をより深く理解し、その価値を最大化する営み」として捉え直すことです。
特に中小企業の経営者にとって、これは死活問題でもあります。大手企業のような豊富な資源がない分、経営者自身の判断力、人間性、価値観が会社の競争力を左右するからです。
中小企業経営者だからこそできるAI活用
大企業のように専門部署を作ったり、高額なシステムを導入したりする必要はありません。AIとの一対一の対話なら、今日からでも始められます。
むしろ、少数精鋭の中小企業だからこそ、経営者の価値観や判断軸が明確になることで、組織全体の方向性がブレなくなり、強固な企業文化を築くことができるのです。
AIと共創する3つのステップ
ステップ1:経営者としての現状の棚卸し
「私の経営スタイルの特徴は何でしょうか?」「どんな時に良い判断ができていますか?」といった問いから始めます。AIとの対話を通じて、自分では当たり前だと思っていた判断基準や価値観を客観視してみましょう。
ステップ2:経営哲学の言語化
AIとの対話で浮かび上がってきた要素を、今度は自分なりの経営哲学として言語化します。「自分はなぜ経営をしているのか?」「従業員に何を提供したいのか?」「顧客にどんな価値を届けたいのか?」といった根本的な問いを深掘りしていきます。
ステップ3:日常の経営判断での実践
明確になった価値観や判断軸を、実際の経営判断で活用してみます。人事、営業、商品開発…様々な場面で「自分の価値観に照らすとどう判断すべきか?」を意識し、AIにも相談しながら精度を高めていきます。
中小企業経営者が実践するコツ
限られた時間を有効活用
忙しい経営者でも、朝の15分、移動時間、就寝前の少しの時間でAIとの対話は可能です。完璧な時間を確保しようとせず、隙間時間を活用することから始めてみてください。
高額な投資は不要
専門のコンサルタントを雇ったり、高額なセミナーに参加したりする必要はありません。AIとの対話だけで、十分に深い自己理解と価値観の明確化が可能です。
従業員との共有で組織力向上
明確になった経営哲学や価値観は、従業員との対話でも活用できます。「なぜこの判断をしたのか」を説明できるようになることで、組織全体の一体感と判断力の向上につながります。
まとめ:中小企業経営者こそ必要な「自分らしい価値」の発見
中小企業の経営者にとって、リカレント教育の真の目的は技術スキルの習得ではなく、経営者としての自分の価値を深く理解し、それを組織運営に活かすことにあると私は考えています。
AIという新しいパートナーとの対話を通じて、これまで見えなかった自分の経営スタイルや価値観を発見してみませんか?大企業にはない、中小企業ならではの機動力と人間味のある経営を実現するために。
今日からできる最初の一歩は、AIに「私の経営について、どう思いますか?」と聞いてみることです。きっと、会社の未来を変える新しい気づきが待っているはずです。
※本記事は筆者の実体験を中心に構成しています。