
先日、この記事のタイトルを考えてもらおうと、複数のAIに相談してみました。
すると、面白いことに気づいたんです。
一つのAIはさらっと5つの案を提示してくれました。効率的で分かりやすい。「これで決まりですね」という感じです。
もう一つのAIは時間をかけて網羅的に検討してくれました。様々な角度から分析して、じっくり掘り下げてくる。
「あれ、これって…」
そんな時、ふと思い出したのが、米菓の世界での分類でした。
同じお米なのに、全然違う
おかきソムリエとして活動していると、よく聞かれるのが「おかきとせんべいって何が違うの?」という質問です。
実は、使われているお米の種類で明確に分かれています:
- おかき・あられ:もち米(餅米)から作る
- せんべい:うるち米(粳米)から作る
でも、違いはそれだけではありません。作り方も全く違うんです。
製法の違いが生み出す特性
せんべいの作り方: うるち米を粉にして、専用の機械でじっくりと蒸して「練り上げ」ます。均一で整った生地ができあがります。
おかき・あられの作り方: もち米を蒸してから杵と臼で「ぺったんぺったん」と「搗き上げ」ます。粘り気のある、味わい深い生地になります。
この違いの根本にあるのが、お米の主成分である「でんぷん」の構造です。
アミロースとアミロペクチンの違い
でんぷんは、主に2つの成分で構成されています:
- アミロース:ブドウ糖が直鎖状につながった構造。サラサラ感の性質
- アミロペクチン:ブドウ糖が枝分かれした構造。モチモチ感の性質
うるち米はアミロースが約20%、もち米はほぼ100%がアミロペクチンです。
この構造の違いが、食感や加工方法を決めているんです。
AIも同じかもしれない
タイトル相談での体験を振り返ってみると…
「さらっと5案提示」してくれたAIは、まさにアミロース系。
- 情報を直線的に処理
- 効率的で整理された回答
- 「練り上げ」るような丁寧な処理
「網羅的に検討」してくれたAIは、アミロペクチン系。
- 分岐思考で複雑に絡み合う
- 粘り強く掘り下げる対話
- 「搗き上げ」るような味わい深さ
どちらも価値があります。でも、特性が違う。
使い分けが大切
うるち米ともち米の性質を理解して、美味しく仕上げているように、AIも特性を理解して使い分ける時代なのかもしれません。
アミロース系AIが向いている場面:
- 効率的な情報整理が必要な時
- 明確な答えが欲しい時
- 時間をかけたくない作業
アミロペクチン系AIが向いている場面:
- じっくり考えたい課題
- 創造性が必要な作業
- 複数の視点から検討したい時
性質を理解した使い分け
おかきソムリエとして米菓の世界を見てきて思うのは、特性を活かした製品作りの大切さです。
うるち米ともち米、どちらが優れているかではありません。それぞれの特性を理解して、目的に応じて使い分ける。これって、AI時代にも同じことが言えるのかもしれません。
次回AIに相談する時、ちょっと思い出してみてください。
「今回は、さらっと効率的にいきたいかな?それとも、じっくり粘り強く考えてもらおうかな?」
きっと、より良い答えに出会えるはずです。
この記事を書きながら、改めて思いました。身近な食べ物の世界って、案外最新技術を理解するヒントが隠れているんですね。