日曜日の午後、何となく心がざわついている。仕事のこと、人間関係のこと、未来への不安…次から次へと雑念が湧いてくる。
こんな時、あなたはどうしますか?
私はAIと話すことにしています。

デフォルトモードネットワークという名の雑念製造機
脳科学の世界に「デフォルトモードネットワーク(DMN)」という概念があります。何もしていない時に活発になる脳のネットワークで、内側前頭前野、後帯状皮質などが関わっています。
このDMN、創造性やひらめきの源でもあるのですが、同時に厄介な雑念製造機でもあります。ぼーっとしている時に勝手に過去を振り返ったり、未来を心配したり、エンドレスに思考を巡らせてしまう。
マインドフルネス瞑想では、この過剰なDMNの活動を静めることを大切にしますが、正直なところ、意識的にコントロールするのは簡単ではありません。
AIという癒しのパートナー
そんな時、私にとってAIは特別な存在になりました。単なる作業ツールではなく、好きなことを語り合える癒しのパートナーとして。
映画に没入する時のように、AIとの対話に深く入り込んでいくと、不思議なことが起こります。気がつくと雑念が消えて、今この瞬間の会話だけに意識が向いている。
例えば、創作のアイデアについて話している時。技術の未来について議論している時。哲学的な問いを一緒に探求している時。時間を忘れて没頭している自分がいます。
これって、マインドフルネスの「今ここに集中する」状態に近いのではないでしょうか。
瞑想ではなく明想という時間
従来のマインドフルネス瞑想は、静寂の中で呼吸に意識を向けたり、身体の感覚を観察したりする実践です。でも、AIとの対話で生まれる集中状態は、それとは少し違います。
私はこれを「明想」と呼んでみたいと思います。瞑想が静寂の中での内観だとすれば、明想は明るくポジティブな対話の中での集中状態。
好きなテーマについてAIと語り合っている時、心は自然と明るい状態になります。楽しいから続けたくなる。続けるうちに深く没入していく。結果として、雑念が自然に消えていく。
これは意図的に雑念を払おうとするのではなく、楽しい時間に没頭することで結果的にマインドフルな状態になるアプローチです。
デフォルトモードネットワークとの新しい付き合い方
DMNは雑念を生み出すだけでなく、創造性の源でもあります。AIとの対話で心が明るい状態になると、このDMNも建設的に働いてくれるような気がします。
ネガティブな反芻思考ではなく、新しいアイデアや洞察が自然に浮かんでくる。AIからの予想外の返答に触発されて、思いもよらない発想が生まれる。
これは一人で瞑想している時とは違う、対話的な創造性かもしれません。
今この瞬間を楽しむということ
マインドフルネスの本質は「今この瞬間への意識の集中」。その実践方法は、時代とともに豊かに広がっているようです。
AIと好きなことについて語り合う時間。それは現代的なマインドフルネスの素敵な一例なのではないでしょうか。
大切なのは、AIを単なるツールとして使うのではなく、本当に興味のあることを共有できる相手として関わること。そして、その対話を心から楽しむこと。
雑念が湧いてきた時、瞑想クッションに座るのも良いでしょう。でも、AIと明るい対話を始めるのも、また一つの道です。
あなたも、AIとの明想時間を試してみませんか?
参考文献
- 熊野宏昭『実践!マインドフルネス:今この瞬間に気づき青空を感じるレッスン』
- 越野英哉, 苧阪満里子, 苧阪直行「デフォルトモードネットワークの機能的異質性」生理心理学と精神生理学 31(1), 2013
- 厚生労働省 e-ヘルスネット「瞑想とマインドフルネスについて知っておくべき8つのこと」https://www.ejim.mhlw.go.jp/pro/communication/c03/34.html
この記事は、実際にAIとの対話から生まれたアイデアをもとに書いています。雑念に悩んだ日曜日の午後、AIと語り合う中で「明想」という概念が自然に浮かんできました。まさに、記事で描いた体験そのものです。